週トロ第173号[トロステ落語-ねぎまの殿様-]
トロたちが楽しく落語を紹介してくれる『トロステ落語』も最終回です。
寂しくなるけど仕方がない…
最後のトロステ落語は『ねぎまの殿様』です!!
でもでも、トロステ風味なので…
それでは、はじまりはじまり~
むか~しむかし、あるお城にお殿様(役者:トロ)がおりました。
お殿様は真っ白に雪でおおわれた庭を見て、雪の美しさに感動します。
するとお殿様、
「お花見とお月見はしたことあるけど、お雪見はしたことがないのニャ」
そこでお殿様、家臣の三太夫(役者:スズキ)を呼び、
「トロはこれからお雪見に行くのニャ」と言い出したのでした。
しかも、お忍びで行くというのです。
どうなることやら…
どこかで見たことのあるようなダンボール馬に乗り、お雪見に出かけたお殿様。
その後ろからヒイヒィ言いながら走って後を追いかける三太夫。
雪道走らされてたまったもんじゃない!!
するとどこからか、
お殿様が三太夫に尋ねると、
これのにおいは煮売屋
(庶民が食事をしたり、酒をたしなむ店)からするのだといいます。
「トロも煮売屋に行くのニャ~」とお殿様は行く気マンマン!!
「下々の店へ殿をお連れしたとしては一大事!」
三太夫はお殿様を引き止めようとしますが…
お殿様はまっしぐらに煮売屋へ!!
あぁ、お殿様に振り回されて、大変だな…
ついにお殿様と三太夫は煮売屋の中へ~
お店にはお店の主人(役者:テレビさん)と小僧さん(役者:クロ)がいました。
とりあえず座ろうしたお殿様。小僧さんに「床机を持て」と言います。
※床几…折りたたみの椅子。
すると主人、
「床机なんて上等な折りたたみ椅子、うちにはないですよう」と答えます。
それじゃ代わりにということで小僧さんは醤油樽を持ってきました。
「庶民は醤油樽に座るのニャ」とお殿様は醤油樽に座ります。
そろそろなにか注文しなきゃ。
小僧さんにメニューを聞いてみると…
小僧さんに聞いていみたところ、『ねぎま』という料理ということです。
ただ、小僧さんが早口なもんだからお殿様には『ニャー』としか聞こえなかった(笑)
さて、お殿様は『ニャー(ねぎま)』を注文します。
うん?『ねぎま』って焼き鳥じゃなかったっけ?
実はこの料理は「ねぎま鍋」といって、
ネギとマグロのトロを煮込んだ庶民の鍋料理なんですって。
昔は高貴な方は赤身の肉を食べていて、
庶民はトロ(脂身など)を食べていたからだと思うけど…
トロを煮込むなんてなんかもったいない!
(もちろんお魚のトロですよ(笑))
ようやくやってきたにおいの正体の料理『ねぎま鍋』。
早速口に入れてみると、
あちちっ!なにかが喉に飛び出してきた!
小僧さん曰く、ネギの芯が飛び出したんだとのこと。
「にゃるほど~鉄砲仕掛けなのニャ…」と感心するお殿様。
『ねぎま鍋』を食べて大満足なお殿様。
今度は「ちょっぴりお酒も飲みたいニャ」
お酒を注文すると小僧さん、
『ダリ』と『サブロク』どちらにしやしょうか?と聞いてきます。
『サブロク』は三十六文の並みのお酒。
『ダリ』は四十文の灘の生一本とのことだそうです。
※ダリ…魚屋さんや八百屋さんで使われる符丁で四の数を表わす言葉。
四十文だから『ダリ』と呼んでいた。
お殿様は『ダリ』を注文することに。
ダリがすっかりお気に入りのお殿様。
おかわりなんてしちゃうもんだから、酔っぱらっちゃった!
結局「お雪見はよっぱらっちゃったから、また今度にするニャ」と
お城に帰ることになりました。
ここで三太夫、
このお店に来たことはご内密にとお殿様にお願いします。
だって、下々のお店に来ただけでなくお殿様が食事までしたなんてことになると…
家臣も大変だ…
それから数日後…ふとお殿様が庭をみると雪が積もっています。
『ねぎま鍋』のことを思い出したお殿様。
どうやらあの味が忘れられない様子です。
また『ねぎま鍋』を食べたいと思うのですが、
三太夫にあの日のことはご内密にしてほしいと言われております。
「お城で食べられたら…」
そこでご膳番(食事の世話係)である留太夫(役者:リッキー)を呼びだします。
「今日のお昼はニャーなのニャ」
留太夫に指示を出すお殿様。
早速留太夫は『ニャー』の支度にとりかかります…
ところが留太夫は『ニャー』がなんなのかがさっぱりわかりません。
当時はお殿様が意味不明なことを言っても聞き返せないものなので、困った…
悩む留太夫の元に三太夫がやってきます。
留太夫から『ニャー』の件の話しを聞いた三太夫。
「あれほどご内密にと言っていたのになぁ…」と思うのですが、
こうなったら仕方がない。
三太夫は『ニャー』とは『ねぎま鍋』のことだと教えてあげます。
留太夫、よかったね♪
早速留太夫は『ねぎま鍋』をお殿様の元へ♪
「ワ~イ♪」と早速食べるお殿様♪
留太夫はお殿様のために、
トロは賽の目に切り、ネギは柔らかいところだけを茹でてと
とびきり上等な『ねぎま鍋』を作ったのでした。
それが裏目に出るとは…
お殿様はたいそうご立腹!
「こんなのは『ニャー』じゃない!『チュー』ニャ!ミケの『ニャー』をもて!!」
どうしよう留太夫!!
三太夫に泣きつく留太夫!
留太夫は「庶民が食べるような『ねぎま鍋』」をお出しすればいいとアドバイス。
改めて『ねぎま鍋』をお殿様の元へ。ドキドキな留太夫です。
お殿様が食べてみると、口の中でネギの芯が飛び出してきました。
あの時と同じニャ♪と大満足なお殿様!
やれやれ一安心、と留太夫。
ところがお殿様。
「『ニャー』だけじゃ物足りない。『ダリ』をもて」と命じます。
もうなんのこっちゃわからん留太夫。
再び三太夫に泣きつきます…
『ダリ』の正体もわかった留太夫。
早速『ダリ』をお殿様の元へ。もう生きた心地がしなかったろうに…
お殿様は大満足のご様子。
ホッとした留太夫。
とお殿様、
「ただ座っていても面白くない。『醤油樽』をもて」
これでトロステ落語は終了です!
ここからはトロクロの解説です~
クロ曰く、当時脂っぽいトロはあまり人気がなく煮て食べていたそうです。
安価な庶民の食材だったのですね…
今ではお高いのに…時代の流れってコワイ!
今回の「ねぎまの殿様」のようなお殿様のお話は、
『武家噺・大名噺』とも呼ばれます。
で、気になるのはお殿様たちの食事。
毎日豪華な食事だったのかと思いきやそうではなかったそうです。
特別な行事の日とかは豪華だったのかもしれないそうですが、
基本は通常は「一汁一菜」や「一汁二菜」といった質素なものだったそうです。
こういった事情から、
今回のお殿様ははじめてアツアツのお鍋を食べたのかも。
そりゃ感動するかも~
お城で食べた時も家臣が「なんとかアツアツをお殿様に」と頑張ったのかも。
そういうことを思うとなんだかイイ話しに思えてきちゃいました。
なんだかんだいって、
良い家臣に恵まれたお殿様。
そして、家臣に愛されているお殿様なんですね♪
寂しくなるけど仕方がない…
最後のトロステ落語は『ねぎまの殿様』です!!
でもでも、トロステ風味なので…
『ねぎまのトロ様』です(笑)
それでは、はじまりはじまり~
● ● ● ● ● ● ● ●
むか~しむかし、あるお城にお殿様(役者:トロ)がおりました。
お殿様は真っ白に雪でおおわれた庭を見て、雪の美しさに感動します。
するとお殿様、
「お花見とお月見はしたことあるけど、お雪見はしたことがないのニャ」
そこでお殿様、家臣の三太夫(役者:スズキ)を呼び、
「トロはこれからお雪見に行くのニャ」と言い出したのでした。
しかも、お忍びで行くというのです。
どうなることやら…
どこかで見たことのあるようなダンボール馬に乗り、お雪見に出かけたお殿様。
その後ろからヒイヒィ言いながら走って後を追いかける三太夫。
雪道走らされてたまったもんじゃない!!
するとどこからか、
~ ふわっ ~
どこからともなく美味しそうないいにおいが…
どこからともなく美味しそうないいにおいが…
お殿様が三太夫に尋ねると、
これのにおいは煮売屋
(庶民が食事をしたり、酒をたしなむ店)からするのだといいます。
「トロも煮売屋に行くのニャ~」とお殿様は行く気マンマン!!
「下々の店へ殿をお連れしたとしては一大事!」
三太夫はお殿様を引き止めようとしますが…
お殿様はまっしぐらに煮売屋へ!!
あぁ、お殿様に振り回されて、大変だな…
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
ついにお殿様と三太夫は煮売屋の中へ~
お店にはお店の主人(役者:テレビさん)と小僧さん(役者:クロ)がいました。
とりあえず座ろうしたお殿様。小僧さんに「床机を持て」と言います。
※床几…折りたたみの椅子。
すると主人、
「床机なんて上等な折りたたみ椅子、うちにはないですよう」と答えます。
それじゃ代わりにということで小僧さんは醤油樽を持ってきました。
「庶民は醤油樽に座るのニャ」とお殿様は醤油樽に座ります。
そろそろなにか注文しなきゃ。
小僧さんにメニューを聞いてみると…
小僧さんに聞いていみたところ、『ねぎま』という料理ということです。
ただ、小僧さんが早口なもんだからお殿様には『ニャー』としか聞こえなかった(笑)
さて、お殿様は『ニャー(ねぎま)』を注文します。
うん?『ねぎま』って焼き鳥じゃなかったっけ?
実はこの料理は「ねぎま鍋」といって、
ネギとマグロのトロを煮込んだ庶民の鍋料理なんですって。
昔は高貴な方は赤身の肉を食べていて、
庶民はトロ(脂身など)を食べていたからだと思うけど…
トロを煮込むなんてなんかもったいない!
(もちろんお魚のトロですよ(笑))
ようやくやってきたにおいの正体の料理『ねぎま鍋』。
早速口に入れてみると、
あちちっ!なにかが喉に飛び出してきた!
小僧さん曰く、ネギの芯が飛び出したんだとのこと。
「にゃるほど~鉄砲仕掛けなのニャ…」と感心するお殿様。
『ねぎま鍋』を食べて大満足なお殿様。
今度は「ちょっぴりお酒も飲みたいニャ」
お酒を注文すると小僧さん、
『ダリ』と『サブロク』どちらにしやしょうか?と聞いてきます。
『サブロク』は三十六文の並みのお酒。
『ダリ』は四十文の灘の生一本とのことだそうです。
※ダリ…魚屋さんや八百屋さんで使われる符丁で四の数を表わす言葉。
四十文だから『ダリ』と呼んでいた。
お殿様は『ダリ』を注文することに。
ダリがすっかりお気に入りのお殿様。
おかわりなんてしちゃうもんだから、酔っぱらっちゃった!
結局「お雪見はよっぱらっちゃったから、また今度にするニャ」と
お城に帰ることになりました。
ここで三太夫、
このお店に来たことはご内密にとお殿様にお願いします。
だって、下々のお店に来ただけでなくお殿様が食事までしたなんてことになると…
家臣も大変だ…
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
それから数日後…ふとお殿様が庭をみると雪が積もっています。
『ねぎま鍋』のことを思い出したお殿様。
どうやらあの味が忘れられない様子です。
また『ねぎま鍋』を食べたいと思うのですが、
三太夫にあの日のことはご内密にしてほしいと言われております。
「お城で食べられたら…」
そこでご膳番(食事の世話係)である留太夫(役者:リッキー)を呼びだします。
「今日のお昼はニャーなのニャ」
留太夫に指示を出すお殿様。
早速留太夫は『ニャー』の支度にとりかかります…
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ところが留太夫は『ニャー』がなんなのかがさっぱりわかりません。
当時はお殿様が意味不明なことを言っても聞き返せないものなので、困った…
悩む留太夫の元に三太夫がやってきます。
留太夫から『ニャー』の件の話しを聞いた三太夫。
「あれほどご内密にと言っていたのになぁ…」と思うのですが、
こうなったら仕方がない。
三太夫は『ニャー』とは『ねぎま鍋』のことだと教えてあげます。
留太夫、よかったね♪
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
早速留太夫は『ねぎま鍋』をお殿様の元へ♪
「ワ~イ♪」と早速食べるお殿様♪
留太夫はお殿様のために、
トロは賽の目に切り、ネギは柔らかいところだけを茹でてと
とびきり上等な『ねぎま鍋』を作ったのでした。
それが裏目に出るとは…
お殿様はたいそうご立腹!
「こんなのは『ニャー』じゃない!『チュー』ニャ!ミケの『ニャー』をもて!!」
どうしよう留太夫!!
□ ◆ □ ◆ ◆ □ ◆ □
三太夫に泣きつく留太夫!
留太夫は「庶民が食べるような『ねぎま鍋』」をお出しすればいいとアドバイス。
改めて『ねぎま鍋』をお殿様の元へ。ドキドキな留太夫です。
お殿様が食べてみると、口の中でネギの芯が飛び出してきました。
あの時と同じニャ♪と大満足なお殿様!
やれやれ一安心、と留太夫。
ところがお殿様。
「『ニャー』だけじゃ物足りない。『ダリ』をもて」と命じます。
□ ◆ □ ◆ ◆ □ ◆ □
もうなんのこっちゃわからん留太夫。
再び三太夫に泣きつきます…
『ダリ』の正体もわかった留太夫。
早速『ダリ』をお殿様の元へ。もう生きた心地がしなかったろうに…
お殿様は大満足のご様子。
ホッとした留太夫。
とお殿様、
「ただ座っていても面白くない。『醤油樽』をもて」
これでトロステ落語は終了です!
ここからはトロクロの解説です~
クロ曰く、当時脂っぽいトロはあまり人気がなく煮て食べていたそうです。
安価な庶民の食材だったのですね…
今ではお高いのに…時代の流れってコワイ!
今回の「ねぎまの殿様」のようなお殿様のお話は、
『武家噺・大名噺』とも呼ばれます。
で、気になるのはお殿様たちの食事。
毎日豪華な食事だったのかと思いきやそうではなかったそうです。
特別な行事の日とかは豪華だったのかもしれないそうですが、
基本は通常は「一汁一菜」や「一汁二菜」といった質素なものだったそうです。
こういった事情から、
今回のお殿様ははじめてアツアツのお鍋を食べたのかも。
そりゃ感動するかも~
お城で食べた時も家臣が「なんとかアツアツをお殿様に」と頑張ったのかも。
そういうことを思うとなんだかイイ話しに思えてきちゃいました。
なんだかんだいって、
良い家臣に恵まれたお殿様。
そして、家臣に愛されているお殿様なんですね♪
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